落語の長屋のお話
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落語では長屋での
長屋とは、大家さんとは、店子とは何かについてお話します。
先ず、落語では「はなし」の漢字には「話」ではなく、「噺」又は「咄」の字を使います。落語家を噺家といいますね。
さて長屋とは何かです。
明治時代になって消えていくのですが江戸時代の江戸では庶民の住居として町内にいくつもありました(町は今の1丁目、2丁目より狭い地域)。
表通りの裏にありましたので裏長屋とも言われました。
狭い路地の両脇に片側5〜10軒ずつぐらいの棟が二棟並んで立っています。計10〜20軒ぐらいです。
一軒は台所(土間)つきの一間(四畳半位)が標準です。今でいう1k型でしょうか。路地の突き当りの小さな空き地には井戸と共同便所があり、路地の中央には下水道が作ってあり、その上はいくつもの板をかぶせています(どぶ板)
入口を入って土間の横に二畳の板張り(又は畳)のスペースと奥に六畳の部屋を持った、まあ2Kの型もありました。
だいたい長屋はこんな作りですが、今でいう賃貸のワンルーム アパートのイメージ良いのではないかと思います。各部屋にトイレや風呂はありません。
長屋の所有者を家主(家持)とか地主とか言いました。落語によく出てくる大家さんは家主に雇われている長屋の管理人です。建物の管理、店子の世話、店子からの店賃(部屋代)の徴収が仕事です。
店子は長屋の借家人ことです。
家持家主は表通りに大店(大店)を構えている旦那です。
長屋の差配は大家さんが行います。
又大家さんは、町政の責任者である大店の旦那たちに頼まれて町政事務を取
ったり犯罪人の仮留置場がある自身番に詰めることもあります。
大家さんは店子が騒動を起こさず、おとなしく働いてくれるよう店子を差配します。
大家から見て、店子と言えば子も同然と言われます。
大家さんは店子のプライベートな相談にものったでしょう。
落語では嫁さんの世話や夫婦喧嘩の仲裁、その他のいざこざの仲裁もします。
店子は独身の者、妻帯者、子供もいたでしょう。
落語では、店子の八っつあんが同じく熊さんに「もうここ四つ(4か月分)も店賃を溜めて(納めないで)いて大家さんに顔出しできねえ」、対して熊さん「何だそれくれい おれなんだわ十年もめえ(前)から一切はらっちゃいねえ」。
これに似たような無茶苦茶な話が、落語の噺にはよく出てきます。
実はこれはある程度本当なのです。
家賃滞納の店子に大家さんはきつい催促はしなかったのです。
それは家主(所有者)が督促しませんから。
何故か。店子がおとなしく働いてくれればそれでよかったのです。家主は表通りで大店を構える旦那です。
家賃はあてにして暮らしていません。
江戸時代の江戸は活況をていしており、いつも人手不足で、地方よりの出稼ぎ労働者をあてにしていました。
江戸の町を運営する大店の旦那たちはこの労働者が騒動を起こさず、おとなしく働いてくれることを願ったのです。
住居を提供して安心して働いてもらいたかったのです。
そして江戸に居続けることも願っていたでしょう。
大家さんは店子支配の円滑化から店子に月ごとに当番を決めて長屋の諸事、雑用をさせました。月番と言われ、月ごとに順番で回ってきます。
落語の「長屋の花見」では大家さんが貧乏長屋の連中をさそって花見に行く噺があります。
大家さんが月番に準備を命じます。
店子の仕事、職業です。
長屋の自分の部屋で一人で仕事。居職と言い彫金師、飾り職、木版刷り、裁縫屋等々を行う人もいました。又外で親方の元で働く大工、左官、駕籠かき、馬方等が住んでいます。出職と言います。
しかし地方から出て来て手に職がない大勢は口利き屋(私設の職業安定所)を通じての日雇い人夫、手伝いの仕事です。
いくらかでも余裕資金ができますと自分で商いをやります。
天秤棒かついで野菜や魚を売り歩きます(ぼてふり)。
いずれにしてもその日暮しです。
中には金を溜めて表通りに店を借りて商売を始める者や、又職人の親方になる者もいましたが、少ないでしょう。
落語の出てくる長屋の八っつあん、熊さんの職業はよくわからない場合が多いですが、親方の元で働く大工、左官、又その下働きが多いでしょう。
経済力から子供は原則一人、多くても二人です。
しかしだいたいは寺子屋には行かせます。自分は文盲でも子の将来を考えて読み書きを習わさせたのです。
子は10〜12歳で大店や大工の棟梁や職人の親方の元に奉公に出します。
そこで一人前の商人、職人になって行くのが常套です。
江戸人の二代目になります。
二代目は大店の手代、番頭に、又店の旦那からのれん分けをしてもらい小さな店を持てることもあります。
職人の道に進んだ者は大工、左官屋、畳屋、建具屋、植木屋、石工、鍛冶屋、飾り職、植木屋、床屋、髪結い等々の職人や親方になれます。
職業の種類は今よりもずっと多いでしょう。
大店で奉公したり、店を構えて商いをする者、職人の親方や上級職人になるには読み書き、ソロバンが必要です。親元にいる時に寺子屋に通わせておく必要
があります。
裏長屋の店子はその日暮しであっても子を寺子屋に通わせます。
江戸時代に江戸では庶民も二代目以降はほとんど基本の読み書きができます。
田舎の農村では一般の百姓は読み書きが出来なくとも農業や生活はできます。お上からのお達しの内容は庄屋さんや寺の坊さんが教えてくれます。田舎から
江戸へ来た初代は人の多くは字が読めませんでした。
しかし江戸では職人、商人になる人は字が読めないと一人前になれません。
最後に横丁の御隠居さんです。
御隠居さんの隠居所は大店のある大通りと次の大通りの間の横道にそってあります。その間には裏長屋の入り口があります。横の道である横丁に住んでいますのでそれで横丁の御隠居さんです。
大店の旦那が息子に跡を譲り隠居した住まいです。
大店と裏長屋の間にあります。
長屋の店賃を小遣いにしていることはありますが、跡取りの息子が生活費は出しますので、店賃はあてにしていません。
店子が出入りします。行けば茶菓子が出、珍しいものをもらえます。御隠居は
店子から今日的な面白い話が聞けます。
長屋の八っあんや熊さんが暇なときに出入りいします。
落語の主要登場人物の大家さん、店子、横丁の御隠居の立場を語りました。
以上
2024年6月16日
梅 一声
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